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「菜と野と山のいえ」について

隣家一軒、まわりは田畑に植木畑。さあこの景観の中にどんなすまいがしっくりと馴染むだろう。そんなところからのはじまりです。
この場所に家を建てたいんだけどと、お話を頂いたのが5年前。まだまだ悩みながらのぼんやりとした構想だったと思います。現地に案内された時の印象は空がひろく広大で、山もパノラマで見渡せる、なんて素敵な場所なんだろうと胸が踊りました。
まずは漠然とした構想をカタチに置き換え提案することからのスタート。兎にも角にも北谷さん家族が想い描く、くらし方を探るため僕なりに感じ取ったことを基にプランニングすることから始めました。図面と模型を手にドキドキの初プレゼン。いいねと喜んでもらえてひと安心。でもまだまだ初期段階。

色々な要望やプランニング上の不具合を修正しながら、原案を基にヒアリングをし今後想定される家族の成り立ちの変化や想いをくみとっていきます。
何度かの打合せと調整を繰り返し現在の計画に辿り着きました。
高安山の景観を365日楽しめるよう、山側に向けて窓を設けました。その景観を外でも楽しめるよう広々としたデッキを1、2階にもうけました。180°の大パノラマをひとり占めです。外観は周辺環境とも馴染みがよいよう、高安山の裾野をそのまま伸ばしたような高さの低い片流れ屋根とし安定感のあるボリュームとしました。仕事柄来客も多くなるとのことから、玄関土間をゆったりと計画しその場で靴を脱がずにくつろげる場としました。土間からダイニング、リビングへと奥に向かうほどプライベートな空間となるよう計画し、床のレベル差を利用して天井高さに変化をつけ、生活する姿勢に馴染む天井高さとしています。土間は靴履き(天井高さ2.6m)ダイニングはイスに着座(天井高さ2.4m)リビングはごろ寝(天井高さ2.2m)といった具合です。

まだまだ語り尽くせないほど色々な想いの詰まったすまいです。
大切なことをもう一つ。「菜と野と山のいえ」の施工は株式会社 Dept.
設計図には描き表せない、「想い」をたくさん読み取ってもらい設計図以上に良いものを造りあげて頂きました。縁の下の力持ちです。

太田一成建築設計
太田一成